2020年3月7日土曜日

毛沢東の詩詞

ダイ・シージエは文革期の下放政策、再教育政策によって苦汁を舐める経験を長篇第一作「バルザックと小さな中国のお針子」に描くが、そもそもこの過酷な政策を推進したのは「赤色中国の偉大なる革命の舵取り」「東方紅」毛沢東(マオ・ツォートン)主席その人だったわけで、マオは作家にとって言わば人生を狂わせた張本人だったはずである。
しかし彼は真っ向からマオに立ち向かおうとはせず、立ち位置を少しずらして風刺と嘲笑でもって未だ中国最大のタブー、マオに接している。例えば明王朝の皇帝、正徳帝を取り上げた長篇「孔子の空中曲芸」では、小説中に動物キャラクターによる劇が挿入されているが、動物たちは交尾を行いつつ、マオの発した言葉を発する。ダイ・シージエ曰く「エロティックなコメディを書くことは簡単なことではないが、自由でないと書けない。書いていてこれほど嬉しかったことはない」「本当は「毛主席の性生活」という本を書いてみたかったが、母の住む中国に帰れなくなるので諦めた」とのこと。

ダイ・シージエはまた、毛沢東の遺した詩作を読んで、かつてエロスを感じたことを語っていた。それらの詩は中国の教科書にも載せられているポピュラーなものらしい。以下のようなものか。

為女民兵題照(1961/2)

颯爽英姿五尺槍。   颯爽たる英姿 五尺の槍
曙光初照演兵場。   曙光 初て照す演兵場
中華児女多奇志。   中華 児女 奇志多し
不愛紅装愛武装。   紅装を愛せず 武装を愛す

五尺槍:30式歩槍
照:写真 


為李進同志題所撮盧山仙人洞照 (1961/9/9)

暮色蒼茫看勁松。   暮色 蒼茫 勁松を看る
乱雲飛渡仍従容。   乱雲 飛び渡り仍ほ従容
天生一個仙人洞。   天生 一個 仙人の洞
無限風光在険峰。   無限の風光 険峰に在り

李進同志:江青のこと

若い頃の江青。つけまつげが凄い

本稿は転載であるが、これらの詩のどの辺にエロスを感じたのかは忘れてしまった。

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