2020年3月11日水曜日

社会主義リアリズム?

中国絵画において最も多く描かれたモデルは毛沢東に違いない。そして毛の肖像が最も多く印刷されてきたのが中国人民元紙幣である。英国のエリザベス女王の肖像も英連邦の国々の紙幣に使われたため物量は多いが、中国は何より人口が多く、毛の肖像は全ての人民元紙幣に使われているため、毛沢東が世界で最も多く印刷された人物になるだろう。

現在流通している第五版の人民元紙幣のうち、5元、10元、50元、100元札の毛沢東を描いたのが黄土画派の創始者の劉文西で、昨年新紙幣が発行される前に亡くなっている。毛沢東は、延安文芸講話において、芸術家は、労働者、農民、兵士のために創作をすべきで、芸術様式は革命的政治的内容と統一されるべきであると話した。あくまで革命や政治が優先され、芸術はそれらの「しもべ」で独立したものではなく、政治利用の対象だった。西洋芸術から影響を受けた芸術家たちは「プチ・ブルジョワ」とも批判された。社会主義リアリズム絵画においては、写実主義というよりむしろ素人にわかりやすいことが優先されたため、劉文西は毛沢東を神のごとく描き、彼は西安美術協会の会長や中国芸術家協会の副会長という地位を得ている。

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